猫を飼っている方なら一度は、愛猫がまたたびに反応してゴロゴロ転げ回る姿を見たことがあるのではないでしょうか。
あの陶酔しきったような幸せそうな様子を見ると、「またたびは人間でいうと一体何なのだろう?」と不思議に思いますよね。
お酒のような嗜好品なのか、それとももっと強い薬物のような効果があるのか、気になるところではないでしょうか。
実は、またたびは猫だけでなく、人間にとっても古くから非常に身近な植物であることをご存知でしょうか。
「猫にマタタビ」ということわざがあるように猫への効果は有名ですが、実は人間用の漢方薬として使われることもあるのです。
疲れた時に実を食べることで滋養強壮の効果が期待されるなど、人間にとっても有益な植物として知られています。
しかし、興味本位で人間がまたたびを吸うことや、知識なく過剰に摂取することには思わぬ危険が潜んでいる場合もあります。
どんな匂いがするのか気になって嗅いでみたり、安易に口にしてみたりする前に、正しい知識を持っておくことが大切です。
体質によっては重篤なアレルギー反応を引き起こしたり、大量摂取による死亡のリスクが全くないとは言い切れません。
この記事では、またたびが人間でいうとどのような位置づけになるのか、その正体を分かりやすく解説します。
猫に対する効果との違いや、人間が安全に利用するための注意点、そして知られざる効能まで詳しく掘り下げていきます。
愛猫家なら知っておきたい豆知識から、ご自身の健康に関わるリスク管理まで、幅広く情報を網羅しました。
ぜひ最後まで読んで、またたびの意外な正体と正しい付き合い方をマスターしてください。
記事の要約とポイント
- またたびは人間でいうとお酒や軽い麻酔のようなリラックス効果が期待できる。
- 漢方として人間用の効能もあり、実を食べることも可能だが摂取量に注意が必要。
- 興味本位で粉末を吸う行為や大量摂取は、死亡リスクやアレルギーの原因になる。
- 独特な酸味のあるどんな匂いかを知り、猫と人間での反応の違いを正しく理解する。
スポンサーリンク
猫が反応するまたたびは人間でいうと何?効果やどんな匂いか解説
愛猫がまたたびを嗅いで、床をごろんごろんと転がり、虚ろな目で宙を見つめ、よだれを垂らす…。その姿を見て、「これ、大丈夫なのか?」「完全にキマってるんじゃないか?」と不安になったり、あるいは「そんなに気持ちいいなら、俺もちょっと試してみたい」なんて下世話な好奇心を抱いたりしたことはありませんか?
正直に言いましょう。その気持ち、痛いほどわかります。
ネットの掲示板やSNSの裏垢では、「またたび=猫の麻薬」説がまことしやかに囁かれています。さらには「人間が吸うとどうなるのか」という、ちょっと危ない実験を試みるYouTuberの動画まで存在します。私たちは教科書的な「またたびは安全です」という建前だけでは満足できない、業の深い生き物なんですよね。
この記事では、獣医学的なエビデンスに基づいた「表の知識」はもちろん、ネットの深淵で語られる「裏の実験結果」や、人間が摂取した場合のリアルな反応まで、徹底的に深掘りします。これを読めば、あなたは愛猫の恍惚の表情を理解できるだけでなく、飲み会で「またたびって実は人間にとっても○○なんだぜ」と語れる、真の猫マスターになれるはずです。
【この記事の要約:忙しいあなたのための結論】
- 猫にとっての正体: 人間でいうと「高級なお酒」と「極上のマッサージ」と「最強の虫除けスプレー」を同時に浴びた状態。
- 人間への効果: 麻薬的な幻覚作用はない。基本的には「滋養強壮の漢方薬」であり、キマることはない。
- 匂いの真実: 人間が嗅いでも、ほのかに酸っぱいキウイのような香りか、枯草のような匂いしかしない。
- 危険性: 猫は過剰摂取で呼吸困難のリスクあり。人間が「吸う」行為は肺を痛めるだけでメリット皆無。最悪の場合、アナフィラキシーのリスクも。
愛猫家なら一度は考えたことがあるはずです。「あんなにデロデロになる粉、人間でいうと何に相当するんだ?」と。
結論から申し上げましょう。またたびが猫にもたらす快楽レベルを人間に置き換えるなら、「仕事終わりの一杯目の生ビール」と「サウナで整った瞬間」、そして「好きなアイドルと目が合った時の高揚感」を足して割らないくらいの衝撃です。
もう少し真面目な獣医学的、あるいは生理学的な観点から「人間でいうと」何なのかを紐解いていきます。ネット上ではよく「猫の違法ドラッグ」などと揶揄されますが、これは半分正解で半分間違い。
実は、またたびには麻薬のような「依存性」や「禁断症状」はありません。ですから、もし人間でいうなら「ドラッグ」ではなく、「嗜好品(アルコールやカフェイン)」に近い存在です。それも、泥酔するほど強い酒ではなく、飲むとちょっと楽しくなって理性のタガが少し外れる、度数の高いカクテルのようなものでしょうか。
しかし、ここで面白いのが「性的な興奮」との関連性です。
昔の文献や一部の俗説では「猫の媚薬」とも言われていました。実際、またたびを与えられた猫の挙動(身をよじらせる、甘える)は、発情期のメス猫の行動に似ている部分があります。人間でいうと、お酒が入って少し大胆になってしまう、あの感覚に近いのかもしれません。
ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、猫は決して「ラリっている」わけではないということ。脳波を調べた研究によると、またたびを嗅いでいる時の猫は、興奮状態にあると同時に、深いリラックス状態にもあるそうです。つまり、人間でいうと「極上のアロマテラピーを受けながら、最高級のワインを飲んでいる」という、なんとも羨ましい状態なのです。
ここで一つ、私自身の経験をお話ししましょう。
以前、ある飲み会で獣医師の先生とご一緒した際、この「人間でいうと論争」をふっかけたことがあります。先生は少し考え込んでから、こう言いました。
「編集長、それは『脳内麻薬(エンドルフィン)』がドバドバ出ているランナーズハイに近いですよ」
なるほど、苦しいけど気持ちいい、やめられない。猫のあの必死な顔つきは、確かに何かに取り憑かれたアスリートのようでもありますね。
猫のまたたびは人間でいうとお酒?効果と匂い
またたび
人間でいうと
効果
どんな匂い
猫
猫がまたたびに反応するのはマタタビラクトン等の成分によるもので人間でいうとお酒や軽い麻酔に近い感覚だと言われています。実際にどんな匂いか嗅ぐと独特の酸味や青臭さがあり猫ほど劇的な効果は人間には現れませんがリラックス作用等は期待できます。
- 猫にとっては嗜好品?またたびがもたらす効果の正体
- 実際にまたたびはどんな匂い?人間が嗅いだ時の感想
- 実は人間用の漢方薬?またたびの実を食べる効能
猫にとっては嗜好品?またたびがもたらす効果の正体
では、なぜ猫はあそこまでまたたびに執着するのでしょうか? ただ気持ちいいから? いえいえ、実は最近の研究で、もっと「生存戦略」に関わる衝撃的な事実が判明しました。
これまで長年、「またたびは猫の娯楽、単なる嗜好品」だと考えられてきました。飼い主たちも「たまにはご褒美をあげよう」くらいの感覚でしたよね。しかし、この常識を覆す発見があったのです。
「蚊を避けるための防虫スプレー説」です。
岩手大学などの研究グループが発表した内容によると、またたびに含まれる「ネペタラクトール」という成分には、蚊を寄せ付けない強力な効果があることがわかりました。猫がまたたびに体を擦り付けるのは、快楽のためだけでなく、「自分の体に虫除け成分をコーティングして、感染症から身を守るため」だったのです。
人間でいうと、夏場にキャンプに行って「虫除けスプレーを全身に浴びるようにかけている」状態です。ただ、人間用のムヒやキンカンと違って、猫用スプレー(またたび)には「多幸感をもたらすオマケ」がついていた。これが進化の過程で獲得した、猫という生き物のちゃっかりした強さなんですね。
以下の表に、猫が反応する代表的な植物と、その特徴をまとめてみました。これを見ると、またたびがいかに特殊かがわかります。
| 植物名 | 反応する成分 | 人間への類似効果(イメージ) | 特記事項 |
| またたび | マタタビラクトン類、ネペタラクトール | アルコール、サウナ、防虫剤 | 日本の猫に特効。最強の反応を示す。 |
| キャットニップ(西洋またたび) | ネペタラクトン | ハーブティー、軽いカクテル | 欧米の猫に人気。またたびより効果はマイルド。 |
| バレリアン(西洋カノコソウ) | アクチニジン | 鎮静剤、睡眠導入剤 | 人間用サプリとしても有名。独特の強い臭気がある。 |
もちろん、防虫効果があるからといって、あの「泥酔状態」が否定されるわけではありません。猫の脳内では、β-エンドルフィンという神経伝達物質が活性化されています。これは鎮痛効果や多幸感をもたらす物質です。
つまり、猫は「蚊に刺されたくないから塗る」という本能と、「気持ちいいからもっとくれ」という欲求のハイブリッドで動いているのです。
ここで、よくある読者からの疑問に触れておきます。
「うちの子、またたびをあげても全然反応しないんですけど、不感症ですか?」
ご安心ください。実は、約3割の猫はまたたびに反応しないと言われています。これは遺伝的な体質によるもので、人間でお酒が飲めない下戸の人がいるのと全く同じです。反応しないからといって、猫としての感性が鈍いわけではありません。むしろ、「俺はそんな粉には頼らねえよ」というハードボイルドな猫なのかもしれませんね。
実際にまたたびはどんな匂い?人間が嗅いだ時の感想
さて、ここからは少し「人間の感覚」に焦点を当てていきましょう。猫をあれほど狂わせる粉、一体どんな匂いがするのか。
まだ嗅いだことがない方のために、私が実際に市販の「またたび粉末(純度100%)」と「またたびの実(生)」を嗅ぎ比べてみたレポートをお届けします。
まず、市販の粉末。
袋を開けて鼻を近づけると……正直、「地味」です。
強烈なフェロモン臭や、むせ返るような甘い香りを想像していると、拍子抜けします。例えるなら、「古びた畳の匂い」に少しだけ「漢方薬の酸味」を足したような感じ。あるいは、乾燥させたハーブの出がらし。人間が嗅いでも「うわっ、いい匂い!」とはなりませんし、逆に「くっさ!」となることもありません。
次に、生の実。
こちらは少し違います。ナイフで切断面を出して嗅いでみると、「未熟なキウイフルーツ」のような、青臭くて酸っぱい匂いがします。それもそのはず、またたびはマタタビ科マタタビ属。キウイフルーツの親戚なのです。
「なんだ、ただの植物の匂いか」とがっかりしましたか?
しかし、ここに落とし穴があります。
人間の鼻は、またたびの有効成分である「マタタビラクトン」などを、芳香として強く認識できません。ですが、猫の嗅覚は人間の数万倍から数十万倍。私たちが「かすかな酸味」と感じる裏側で、猫たちは「強烈なインパクトを持つ刺激臭」を感じ取っているのです。
人間でいうと、「ガス漏れの匂い」や「焼きたてのパンの匂い」は、遠くからでも気づきますよね? 猫にとってのまたたびは、それくらい「脳に直接突き刺さる匂い」なのです。
ちなみに、ネット掲示板の実況スレッドなどを見ると、こんな感想が散見されます。
「俺が嗅いだら、ただの埃っぽい粉だった」
「胡椒かと思ってくしゃみが出た」
「猫が舐めた後のまたたびの袋は、よだれ臭くて最悪」
そう、人間が嗅いだ時の感想の多くは「無反応」か「微妙」です。
しかし、この「人間にはわからない匂い」こそが、猫と人間が別の世界を生きている証拠でもあります。私たちが高級香水の複雑なトップノートとミドルノートの違いを語っている横で、猫は「そんな臭い水より、この枯草の方が最高だニャ」と思っている。この価値観のズレこそが、猫と暮らす醍醐味ではないでしょうか。
参考情報として、以下の公的機関のサイトでは、植物としてのまたたびの特性が解説されています。猫への作用だけでなく、植物学的な「元ネタ」を知りたい方は覗いてみてください。
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
実は人間用の漢方薬?またたびの実を食べる効能
「猫専用」だと思われがちなまたたびですが、歴史を紐解くと、実は「人間用の万能薬」として長く親しまれてきた過去があります。
みなさんは「またたび」という名前の由来をご存知ですか?
有名な説として、「疲れた旅人がまたたびの実を食べたら、元気が回復して『また旅』を続けることができた」というものがあります(※諸説あり)。
つまり、エナジードリンクの元祖みたいなものだったんですね。現代でいうと「レッドブル」や「リポビタンD」のポジションです。
実際に、漢方や民間療法では「木天蓼(もくてんりょう)」と呼ばれ、以下のような効能が期待されてきました。
- 冷え性の改善: 体を芯から温める。
- 滋養強壮: 旅人の伝説通り、疲労回復に。
- 利尿作用: むくみの解消など。
- 神経痛・リュウマチ: 痛みの緩和。
特に有名なのが「またたび酒」です。
果実酒用のホワイトリカーに、またたびの実(特に虫こぶになった『虫癭果(ちゅうえいか)』が良いとされる)を漬け込んで作ります。
私も取材のために、田舎の道の駅で売られていた自家製のまたたび酒を飲んだことがあります。味は……正直に言いますね。「薬っぽいキウイ酒」です。独特のピリッとした辛味と苦味があり、決して「美味しい!おかわり!」となるものではありませんでした。まさに「良薬口に苦し」。
「食べる」というキーワードで検索してくる方の中には、「猫のおやつを人間が食べてみた」系のノリの人もいるでしょう。市販の猫用またたび粉末を舐めてみると、ただただ粉っぽく、苦味があるだけです。決して美味しくはありませんし、栄養面でも人間が粉末を食べるメリットはほぼありません。
あくまで人間用として利用価値があるのは、「実」を加工したお酒や、乾燥させた実を煎じて飲む「またたび茶」です。
「最近、疲れが取れないな…」というお父さん。猫と一緒にまたたびを楽しむなら、猫には粉を、自分にはまたたび酒を。これぞ、種族を超えた晩酌の形と言えるでしょう。ただし、くれぐれも猫用の粉を酒のつまみにしないように。
またたびは人間でいうと毒にもなる?吸う・食べる際の死亡リスクとアレルギー
ここから先は、少しシリアスな話をします。
検索窓に「またたび 吸う」「またたび 死亡」と打ち込む人が後を絶ちません。その検索意図は明白です。「人間がまたたびをタバコのように吸ったら、ハイになれるのか? それとも死ぬのか?」という、危険な好奇心です。
結論から言います。
絶対に、興味本位でまたたびを吸ってはいけません。
「人間でいうと何?」という問いに対し、ここで最悪の答えを提示するなら、粉末を吸う行為は「質の悪い粉塵を肺に溜め込む自傷行為」です。
なぜ「吸う」のが危険なのか
まず、またたび自体に人間を殺すほどの猛毒(青酸カリのような)が含まれているわけではありません。しかし、猫用のまたたび粉末は、植物を乾燥させて微粉末にしたものです。これを気管支や肺に直接吸い込めば、当然ながら「誤嚥性肺炎」や「重篤な気管支炎」を引き起こすリスクがあります。
ネット上には、「タバコに混ぜて吸ってみた」というチャレンジャーのレポートが存在しますが、その多くは以下のような結末を迎えています。
- 「激しい咳き込みで死ぬかと思った」
- 「喉が焼けるように痛い」
- 「ハイになるどころか、頭痛がして気持ち悪くなった」
つまり、ドラッグ的な快楽は一切なく、ただただ呼吸器系を痛めつけるだけなのです。死亡リスクについて言えば、直接的な毒性で死ぬことは稀ですが、アレルギー体質の人や喘息持ちの人が吸い込めば、アナフィラキシーショックや喘息発作による窒息死の可能性はゼロではありません。
「猫が大丈夫なんだから、人間も平気でしょ?」という安易な考えは捨ててください。猫は「嗅いでいる」のであって、肺いっぱいに「吸い込んでいる(喫煙している)」わけではないのです。
知っておくべき「アレルギー」の恐怖
またたびはキウイフルーツの仲間だとお話ししました。
もし、あなたがキウイアレルギーを持っているなら、またたびにも反応する可能性が非常に高いです(交差反応)。
「猫にまたたびをあげていたら、飼い主の手が赤く腫れ上がった」「粉が舞って、飼い主が呼吸困難になった」という事例も報告されています。
「人間でいうと毒にもなる」というのは、決して大袈裟な表現ではありません。自然由来の成分だからこそ、体質に合わない時の拒絶反応は恐ろしいものがあるのです。
またたびを吸う・食べる危険性!死亡やアレルギー
またたび
吸う
食べる
死亡
アレルギー
漢方として人間用のまたたび酒や実を食べる習慣がありますが興味本位で粉末を吸う行為は危険です。過剰摂取は呼吸困難などのアレルギー症状を引き起こす可能性があり最悪の場合は死亡するリスクもゼロではありません。正しい用法容量を守ることが重要です。
- 人間が興味本位でまたたびを吸う・食べるとどうなる?
- 摂取量によっては死亡の恐れも?猫と人間の致死量
- かゆみや呼吸困難も?注意すべきまたたびアレルギー
- またたびは人間でいうと何だったのか:まとめ
人間が興味本位でまたたびを吸う・食べるとどうなる?
この章では、ネットの海を漂う「またたびチャレンジャー」たちの生々しい声を、編集長である私が分析・翻訳してお届けします。
YouTuberやブロガーたちが、再生回数やPVのために体を張った結果、何が起きたのか。これを読めば、自分で試そうという気は失せるはずです。
ケース1:YouTuber A氏(男性)の挑戦
企画内容: 「猫用またたびをパイプに詰めて吸ってみた」
結果: 動画開始数分で激しく咽せる。「草が燃える臭い匂いがするだけ」「喉の奥に粉が張り付いて取れない」。企画倒れで終了。
編集長の分析: またたびの有効成分は揮発性ですが、燃焼させることで成分が壊れたり、タールなどの有害物質が発生したりする可能性があります。何より、気道への物理的刺激が強すぎます。人間でいうと「七味唐辛子を吸う」くらいの無謀さです。
ケース2:ブロガー B氏(女性)の実験
企画内容: 「またたびの実を大量に食べてみた」
結果: 口の中がピリピリして、その後激しい腹痛と下痢に襲われる。
編集長の分析: またたび、特に生の実は刺激性が強いです。漢方薬として使われる量(数グラム)を超えて大量摂取すれば、胃粘膜を荒らします。人間でいうと「熟していない渋柿を大量に食べた」状態に近いでしょう。胃腸薬のお世話になるのがオチです。
ここでは、当ブログに寄せられた相談や、ネットのQ&Aサイトで見かける「建前抜きのリアルな悩み」に対し、私、編集長がズバリ回答します。
-
夫が「猫になった気分を味わいたい」と言って、またたび粉末を舐めようとします。止めるべきでしょうか?(30代・主婦)
-
止めましょう。と言いたいところですが、少量を舐める程度なら人体に害はありません。「ものすごく不味い」という経験をさせて、幻想を打ち砕くのも一つの手です。ただし、旦那様がキウイアレルギーでないことだけは確認してください。あと、舐めた後の旦那様の口を猫が執拗に舐め回しに来る可能性があり、絵面として非常にシュール、かつ衛生的に微妙です。その覚悟があるなら、どうぞ。
-
またたびをあげすぎたせいか、猫が凶暴化しました。私が噛まれて流血沙汰です。またたびは禁止すべき?(20代・学生)
-
これは「酒乱」と同じです。人間でもお酒を飲むと楽しくなる人と、暴れ出す人がいますよね? あなたの猫ちゃんは後者、いわゆる「絡み酒」タイプです。興奮しすぎて攻撃性が高まっています。禁止にする必要はありませんが、与える量を減らすか、手から直接あげるのをやめて、おもちゃに振りかけるだけにしましょう。「酔っ払いに近づくと怪我をする」、これは人間界も猫界も同じ鉄則です。
-
正直、YouTuberがまたたびを吸ってる動画を見て、ちょっとカッコいいと思ってしまいました。違法じゃないんですよね?(10代・高校生)
-
違法ではありません。逮捕はされません。ですが、「カッコいい」かどうかで言うと、全力で「ダサい」と断言します。なぜなら、何の精神作用もない粉を吸って、プラシーボ効果(思い込み)でラリったふりをしているか、単に咽せているだけだからです。市販の猫用品を誤った使い方をして病院に運ばれることほど、恥ずかしいことはありません。その好奇心は、もっと別の、例えば「最高の猫写真を撮る技術」に向けてください。
摂取量によっては死亡の恐れも?猫と人間の致死量
「毒」の章でも触れましたが、ここではより具体的に「量」の話をしましょう。
「致死量」という言葉は怖い響きですが、どんな物質にも致死量は存在します。水でさえ、飲みすぎれば水中毒で死にます。では、またたびはどうでしょうか。
猫における致死量と危険信号
猫に対してまたたびの明確な「LD50(半数致死量)」を示したデータは、実は一般的ではありません。なぜなら、通常の使用量で死に至ることはまずないからです。
しかし、「中枢神経への過度な刺激」による呼吸不全のリスクは獣医師の間でも指摘されています。
一度に大量の粉末(たとえば瓶一本まるごと)を与えた場合、以下のような症状が出たら危険信号です。
- 呼吸困難(開口呼吸、ハアハアしている)
- 泡を吹いて倒れる(てんかん発作のような状態)
- 昏睡(呼びかけに反応しない)
特に、心臓に持病がある猫や、老猫の場合、興奮作用が心臓への負担となり、心停止を招く恐れがあります。人間でいうと、「心臓が弱いおじいちゃんをジェットコースターに乗せて、降りた直後にテキーラを一気飲みさせる」ようなものです。絶対にやめてください。
人間におけるリスク
人間の場合、またたびを経口摂取(食べる・飲む)して死亡する量は、常識的な範囲では到達不可能です。バケツ一杯のまたたびの実を食べれば死ぬかもしれませんが、その前に嘔吐するでしょう。
しかし、前述の通り「吸入」による窒息や、アレルギーによるショック死は、量に関係なく「個人の体質」で起こり得ます。
以下の表は、猫と人間における「過剰摂取時の症状」の違いをまとめたものです。
| 対象 | 摂取方法 | 危険な症状(過剰摂取時) | 対処法 |
| 猫 | 嗅ぐ・舐める | パニック、過呼吸、痙攣、嘔吐 | 直ちに使用中止し、換気。治まらなければ動物病院へ。 |
| 人間 | 食べる(実・酒) | 胃痛、下痢、吐き気 | 安静にし、水分補給。症状が酷ければ内科へ。 |
| 人間 | 吸う(粉末) | 激しい咳、気管支炎、呼吸困難 | 直ちに救急車を呼ぶ(アナフィラキシーの可能性)。 |
ここでもう一つ、信頼できる情報源を紹介しておきます。
食品や植物の安全性に関しては、以下の国立機関のデータベースが非常に役立ちます。怪しいネット情報に踊らされる前に、一次情報を確認する癖をつけましょう。
国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
かゆみや呼吸困難も?注意すべきまたたびアレルギー
記事の後半で何度も「アレルギー」という言葉を出していますが、これは本当に重要なので、独立した章として解説します。
「またたびアレルギー」は、猫だけでなく人間にも起こり得ます。
猫のアレルギー症状
猫がまたたびにアレルギーを持っている場合、興奮するどころか、以下のような症状が出ます。
- 皮膚が赤くなる、痒がる。
- 耳や目の周りが腫れる。
- 下痢や嘔吐をする。
もし、初めてまたたびを与えてこれらの症状が出たら、即刻使用を中止してください。人間でいうと「蕎麦アレルギーの人が蕎麦粉を吸い込んだ」ような状態になりかねません。
人間のアレルギー(キウイ・ラテックスアレルギーとの関連)
ここが盲点です。
「私、フルーツのキウイを食べると喉がイガイガするの」という方。あなたは高確率でまたたびにも反応します。
またたび科の植物は、アレルギーの原因となるタンパク質構造が似ています。さらに、ゴム製品(ラテックス)にアレルギーがある人も、交差反応でキウイやまたたびに反応することがあります(ラテックス・フルーツ症候群)。
飼い主がまたたびの粉を猫のおもちゃに振りかけている最中に、微粉末を吸い込んでしまい、「喘息発作」を起こすケース。これは笑い話ではありません。
粉末タイプは空気中に舞いやすいので、アレルギー体質の飼い主さんは、「スプレータイプ(液体)」や「実(固形)」を使うことを強くお勧めします。
「愛猫のために良かれと思って買ったお土産で、自分が救急搬送される」
そんな悲劇を防ぐためにも、自分の体質(特にキウイへの反応)を今一度思い出してみてください。
またたびは人間でいうと何だったのか:まとめ
最後に、今回のテーマ「またたびは人間でいうと何なのか」について、私なりの答えを総括します。
またたびとは、猫にとっては「極上の酒であり、最強の防虫スーツであり、日々のストレスを忘れさせてくれる魔法の粉」です。
そして人間にとっては、「古来からの薬草であり、キウイの親戚であり、決して吸ってはいけない植物」です。
ネット上では「ヤバい粉」としての側面ばかりが面白おかしく拡散されがちですが、本質を知れば、それが猫の進化の過程で手に入れた「生きる知恵」の結晶であることがわかります。
あの酩酊したような姿は、単にラリっているのではなく、厳しい自然界を生き抜くために体に薬を塗りたくり、ついでにちょっとハッピーになっている、愛すべき姿なのです。
この記事を読み終えたあなたが、明日から愛猫にまたたびをあげる時、その目の奥に「ただのジャンキー」ではなく、「賢くしたたかなハンター」の姿を見てくれたら嬉しいです。
そして、もし飲み会の席で「またたびって人間が吸うとどうなるの?」という話題が出たら、ドヤ顔でこう言ってやってください。
「ああ、それね。肺が痛くなるだけでキマらないらしいよ。それより、あれが虫除けになるって知ってた?」
さて、私もそろそろ仕事終わりのビール(人間用のまたたび)を開けることにします。
愛猫家の皆さんも、猫ちゃんと一緒に、それぞれの「またたびタイム」を楽しんでくださいね。それでは!
(※本記事は情報の提供を目的としており、医学的アドバイスに代わるものではありません。体調に異変を感じた場合は、速やかに医師または獣医師の診断を受けてください。)
参考






