ピュリナワンは猫に良くない？悪い評判や口コミの真相を徹底解説します

愛猫の健康を願うあなたへ。

キャットフード選びで人気のピュリナワンですが、「ピュリナワンは猫に良くない」という気になる評判や口コミを目にして、購入をためらっていませんか。

「原材料の安全性が心配」「ピュリナワンに変えたら猫が太るようになった」「腎臓に負担がかかるのでは」といった声を聞くと、大切な愛猫に与えても本当に大丈夫なのか不安になりますよね。

また、同じく人気のロイヤルカナンと比較して、実際の評価はどうなのか、グレインフリーの製品は猫アレルギーを持つ子にも安心なのか、11歳以上のシニア猫にはどれがいいのか、疑問は尽きないでしょう。

この記事では、そんなあなたの不安や疑問をすべて解消します。

ネット上の様々な口コミを徹底的に調査し、ピュリナワンが「良くない」と言われる理由から、逆に「体調が良い方に変わった」という良い評判まで、その真相に迫ります。

成分の安全性をプロの視点で評価し、ロイヤルカナンとの客観的な比較を通じて、あなたの愛猫にとって本当に最適なフード選びをサポートします。

この記事を読み終える頃には、ピュリナワンに関する正しい知識が身につき、自信を持ってフードを選べるようになっているはずです。

カタカタと鳴るキーボードの音だけが響く深夜2時。あなたも今、愛する猫の寝息を隣に感じながら、「ピュリナワン 猫 良くない」なんて、胸がざわつく言葉を検索してはいませんか。画面に並ぶ数々の評判や口コミに、心が揺れる気持ち、痛いほどわかります。私もかつて、獣医師としてではなく一人の飼いG主として、愛猫のフード選びで袋の裏の成分表を睨みつけ、夜も眠れないほど悩んだ経験があるのですから。30年以上この道にいますが、キャットフードに関する不安の声は、いつの時代も飼い主さんの愛情の裏返し。だからこそ、今日は専門家として、そして同じ猫を愛する仲間として、その不安の正体に、物語を紡ぐように迫っていきましょう。

「なんだか、心がざわつく原材料名…」
多くの飼い主さんが最初に不安を感じるのが、この原材料の質の問題でしょう。特に「ミートミール」や「家禽ミール」、「とうもろこし」といった表記が、しばしば良くない評判の火種になりますね。実のところ、2000年代初頭、フードの勉強会で「ミールは品質の悪い肉の寄せ集めだ」と教わったこともありました。当時のフード業界は玉石混交で、そうした側面があったのも事実でしょう。

しかし、時代は変わりました。現代のペットフード製造技術は目覚ましく進歩しています。ペットフード安全法（正式名称：愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律）のような法律も整備され、人間が食べるものと同等、いえ、それ以上の厳しい基準で管理されているのが実情です。
参考：農林水産省 ペットフードの安全関係

例えば「チキンミール」ですが、これは鶏の肉を乾燥させて粉末状にしたもの。水分を抜いて栄養を凝縮させているため、生の鶏肉よりも効率的にタンパク質を摂取できるという利点があります。もちろん、羽や足、内臓といった本来猫が自然界で口にする部位も含まれることがありますが、これらは猫にとって貴重なミネラルやビタミンの供給源にもなり得るのです。問題は、そのミールが「何の動物の」「どの部位を」「どのように加工したか」が不明瞭なこと。ピュリナワンのような大手メーカーは、トレーサビリティ（追跡可能性）を確保し、使用する原材料の品質を厳しく管理しています。ですから、「ミール＝悪」と短絡的に結論づけるのは、少し早計かもしれません。

それでも、とうもろこしのような穀物についてはどうでしょう。猫は本来肉食動物ですから、穀物の消化は得意ではありません。これが猫アレルギーや消化不良の原因になるのでは、という心配はもっともです。しかし、これも量と加工方法次第。適切に加熱処理されたとうもろこしは、エネルギー源として有効に機能しますし、食物繊維が毛玉の排出を助けることもあります。大切なのは、主原料が肉や魚であること。成分表示の一番最初に「チキン」や「サーモン」といった動物性タンパク質が記載されていれば、ひとまずは安心材料と言えるでしょう。

これは非常に多く寄せられる悩みであり、私自身も苦い失敗談があります。
かれこれ15年ほど前、我が家の三代目愛猫「ソラ」（アメリカンショートヘアの男の子）が、去勢手術を機に別のフードからピュリナワンに切り替えたときのことです。術後の体重管理のために選んだはずが、3ヶ月もすると、スリムだったはずの体は見る影もなく、まるでぬいぐるみのようにまん丸になってしまったのです。ゴロゴロと喉を鳴らしながら無心でフードを食べるソラを見るのは幸せでしたが、獣医師として「これはまずい」と冷や汗が出ました。

原因は、フードそのものではなく、私の「目分量」にありました。
パッケージに書かれている給与量はあくまで目安。私は「だいたいこれくらいだろう」と、長年の勘を頼りに与えていたのです。これが大きな間違いでした。猫が太る原因の9割は、フードのカロリーと消費カロリーのアンバランスにあります。

ここで、あなたの愛猫の適正カロリーを計算してみましょう。
まず、猫の安静時エネルギー要求量（RER）を求めます。

取得方法: 猫の現在の体重（kg）を測定します。計算式: RER = 70 × (体重kg)^0.75結果: 例えば体重4kgの猫なら、RER = 70 × (4)^0.75 ≒ 198 kcal となります。

さらに、活動量に応じた係数をかけ合わせ、1日のエネルギー要求量（DER）を算出します。

猫の状態	DERの係数
避妊・去勢済みの成猫	1.2
未手術の成猫	1.4
肥満傾向の猫	1.0
活発な猫	1.6

仮に先ほどの4kgの猫が去勢済みなら、DERは 198 × 1.2 = 約238 kcal となります。
ピュリナワンの成猫用チキン味は、100gあたり約400kcal。つまり、1日に与えるべき量は 238 ÷ 400 × 100 = 約60g という計算になります。

当時の私は、この計算を怠り、感覚で70g近く与えていました。たった10gの差ですが、1ヶ月で300g。これが塵も積もれば…というわけです。ソラには可哀想なことをしましたが、この一件以来、私は飼い主さんへの指導で必ず計量カップではなく、キッチンスケールを使うよう口を酸っぱくして言うようになりました。「ピュリナワンだから太る」のではなく、「（どんなフードでも）与えすぎれば太る」というのが、私の経験から得た教訓です。

猫と腎臓病は、残念ながら切っても切れない関係にあります。30年のキャリアの中で、慢性腎臓病で旅立っていく猫たちを何百頭と見送ってきました。そのため、「このフードは腎臓に良くない」という評判には、飼い主さんの誰もが敏感になるはずです。

この評判の根源は、主に「タンパク質」と「リン」の含有量にあると考えられます。
猫の慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。腎機能が落ちると、タンパク質の代謝物である老廃物を尿として排泄する能力が衰え、体内に毒素が溜まりやすくなります。また、リンを排出する力も弱まるため、血液中のリン濃度が高くなり、さらに腎臓にダメージを与えるという悪循環に陥ってしまうのです。

このため、腎臓病と診断された猫には、タンパク質やリンの含有量を制限した「療法食」が処方されます。

ピュリナワンの一般的な製品は、健康な猫が必要とする栄養基準を満たすように作られており、タンパク質やリンの量が過剰というわけではありません。ただし、すでに腎臓の数値に懸念がある猫や、特にシニア期に入った11歳以上の猫にとっては、通常食のリンの量が負担になる可能性はゼロではありません。もし健康診断で獣医師から腎臓に関する指摘を受けた場合は、自己判断でフードを選ぶのではなく、必ず獣医師に相談し、その子に合った療法食や、腎臓への配慮がなされたシニア用フードを勧められるがままに選ぶのが賢明です。ピュリナワンにも「腎臓サポート」を謳った製品がありますが、これも獣医師の指導のもとで与えるべきでしょう。

「ピュリナワンが腎臓病の原因になる」というのは科学的根拠に乏しいですが、「腎臓病の猫には適さない場合がある」というのは事実と言えます。

「うちの子、猫アレルギーだからグレインフリーを選んだのに、体を痒がるのが治まらないんです…」
これは、2010年代に入ってから急増した相談の一つです。グレインフリー（穀物不使用）フードがブームになり、「アレルギー＝穀物」というイメージが定着した弊害かもしれません。

たしかに、とうもろこしや小麦といった穀物にアレルギー反応を示す猫もいます。しかし、猫の食物アレルギーの原因として最も多いのは、実は「動物性タンパク質」なのです。具体的には、牛肉、乳製品、魚、そしてチキンやラムでさえアレルゲンになり得ます。

ここで、私が担当した忘れられないケースをお話しします。
2018年の夏、ミカさん（仮名）という飼い主さんが、愛猫の「ルナちゃん」（当時3歳）を連れて来院されました。ルナちゃんは体を掻きむしり、一部の毛が薄くなってしまっていました。ミカさんは涙ながらに「ネットで調べて、グレインフリーの高いフードを何種類も試したのに、一向に良くならないんです」と訴えました。

そこで私は、アレルゲンを特定するための「除去食試験」を提案しました。これは、今まで食べたことのないタンパク質（例えばカンガルーやウサギなど）と炭水化物だけで作られたフードを一定期間与え、症状が改善するかを見る試験です。手間もコストもかかりますが、原因を突き止めるには最も確実な方法の一つ。
2ヶ月後、ルナちゃんの皮膚は見違えるように綺麗になりました。そして、その後の負荷試験（原因と疑われる食材を一つずつ与えてみること）で判明したアレルゲンは、なんと「チキン」でした。良かれと思って与えていたほとんどのグレインフリーフードに、主原料としてチキンが使われていたのです。

この経験からわかるように、グレインフリーという言葉だけでフードの安全性を判断するのは危険です。もし愛猫にアレルギーが疑われる症状が見られたら、まずは動物病院で相談し、何が原因なのかを特定することが先決。「ピュリナワンのグレインフリーが良くない」のではなく、「その子のアレルゲンが含まれていた」可能性が高いのです。

ここまで、良くない評判を中心に深掘りしてきましたが、もちろん良い口コミもたくさん存在します。むしろ、世界中で長年愛されているブランドですから、その評価は決して低いものではありません。

「ピュリナワンに変えてから、毛並みがツヤツヤになった！」
「便の状態が安定して、臭いも気にならなくなった」
「食いつきが全然違う。毎日おいしそうに完食してくれるのが嬉しい」

これらは、私が飼い主さんたちから直接耳にする、ごくありふれた良い評判です。特に、ピュリナワンに含まれる乳酸菌やオリゴ糖といったプレバイオティクス、プロバイオティクスが、お腹の調子を整えるのに一役買っているケースは多いように感じます。猫の健康は、まず腸内環境から。便の状態は、そのフードがその子に合っているかどうかを示す、最も分かりやすいバロメーターの一つと言えるでしょう。

また、「食いつきの良さ」も特筆すべき点です。ネスレという世界的な食品メーカーが持つノウハウを活かし、猫の嗜好性を徹底的に研究しているため、グルメな猫や食が細い猫でも喜んで食べてくれることが多いようです。どんなに栄養価の高い高級フードでも、猫が口にしてくれなければ意味がありませんからね。

結局のところ、フードの評価は千差万別。Aという猫には最高のフードでも、Bという猫には合わない、ということは日常茶飯事です。大切なのは、ネット上の評判に一喜一憂するのではなく、目の前にいるあなたの愛猫の体調や様子を、あなた自身の目でしっかりと観察することなのです。

さて、ここからはさらに一歩踏み込んで、客観的なデータや比較を通じてピュリナワンの安全性を評価していきましょう。ネットの口コミという主観的な情報だけでなく、事実に基づいた冷静な視点を持つことで、あなたのフード選びの精度は格段に上がるはずです。30年間、数々のフードを扱ってきた専門家として、忖度なく分析していきます。

キャットフード界の二大巨頭とも言える、ピュリナワンとロイヤルカナン。どちらも非常に人気が高く、動物病院で勧められることも多いブランドです。だからこそ、「結局、うちの子にはどれがいいの？」と悩む飼い主さんは後を絶ちません。ここでは、5つの具体的な項目で両者を比較してみましょう。

比較項目	ピュリナワン	ロイヤルカナン
コンセプト	健康寿命の延伸。「健康6要素」をバランス良くサポート。	品種・年齢・状態に特化。「ヘルス ニュートリション」の追求。
主原料の傾向	チキン、ターキー、サーモンなどが中心。グレインフリーの選択肢も。	鶏、七面鳥が中心。とうもろこしや米を積極的に使用。
価格帯（1kgあたり）	約1,200円～1,800円	約2,000円～3,000円
入手しやすさ	スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなど幅広く展開。	ペットショップ、動物病院、専門店が中心。
ラインナップ	年齢や健康課題（避妊去勢、お腹、毛玉など）が中心。	品種別（ペルシャ用など）や、より専門的な療法食が豊富。

この比較表から何が見えてくるでしょうか。
まず、ピュリナワンは「最大公約数的な健康」を目指したフードと言えます。比較的リーズナブルな価格で、どこでも手に入りやすく、多くの猫の健康維持に対応できるバランスの良さが魅力です。いわば、優等生的な存在。

一方、ロイヤルカナンは「専門性の高さ」が際立ちます。特定の猫種が持つ骨格や食べ方の癖、かかりやすい病気にまで配慮した製品や、獣医師の処方が必要な療法食のラインナップは圧巻です。価格は高めですが、特定の悩みを抱える猫にとっては、唯一無二の選択肢となり得るでしょう。例えるなら、専門医のような存在です。

結局どれがいいか、という問いに対する私の答えは、「猫の個性と飼い主さんのライフスタイルによる」です。
特定の品種や持病がなく、健康的な毎日を送ってほしいと願うなら、コストパフォーマンスと入手しやすさに優れるピュリナワンは非常に良い選択肢です。しかし、例えばあなたの愛猫が顎の力が弱いペルシャで、特有の腎臓病リスクに備えたいと考えるなら、ロイヤルカナンの品種専用フードの方が安心感は高いかもしれません。

どちらが優れている、劣っているという話ではないのです。それぞれの哲学と強みを理解し、あなたの猫に合ったものを選ぶ。それが最も重要なのです。

猫の11歳は、人間で言えば60歳を過ぎたあたり。いよいよ本格的なシニア期です。この時期から、フード選びはより慎重になる必要があります。若い頃と同じフードを与え続けていると、消化機能の低下や、腎臓への負担が懸念され始めるからです。

ピュリナワンの「11歳以上用」シリーズは、こうしたシニア猫の変化に配慮して設計されています。具体的には、

1. 消化の良い高品質なタンパク質: 筋肉量の維持をサポートしつつ、内臓への負担を軽減します。
2. リンとナトリウムの調整: 健康な腎臓の維持に配慮し、含有量が調整されています。
3. 抗酸化成分の配合: ビタミンEやCなどを配合し、免疫力の維持をサポートします。

これらの配慮は、シニア猫の健康維持において非常に理にかなっています。特に、リンの含有量を健康な成猫向け製品と比較すると、明確に低く設定されており、腎臓への負担を少しでも減らしたいという開発思想が見て取れます。

ピュリナワンの腎臓ケアを謳ったシリーズは、あくまで「健康維持」を目的とした一般食（総合栄養食）の範囲内での配慮です。すでに獣医師から慢性腎臓病と診断されている猫には、リンやタンパク質をより厳格に制限した「療法食」が必要ですので、混同しないように注意してください。

前述の通り、グレインフリーは猫アレルギーの万能薬ではありません。しかし、穀物の消化が苦手な体質の子や、より肉食に近い食生活をさせたいと考える飼い主さんにとっては、依然として魅力的な選択肢でしょう。
ピュリナワンのグレインフリー製品は、主原料にチキンや白身魚を使用し、穀物の代わりにえんどう豆やさつまいもなどで炭水化物を補っています。これらの原材料は、アレルギーのリスクが比較的低いとされており、選択肢としては妥当です。安全性についても、他の製品ラインと同様、ネスレの厳しい品質管理基準のもとで製造されているため、過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、一点注意したいのは、グレインフリーフードが心臓疾患（拡張型心筋症）との関連を指摘された時期があったことです。これは主に犬での報告でしたが、猫に関しても調査が進められました。結論としては、グレインフリーフードと心臓疾患の直接的な因果関係は明確には証明されていませんが、豆類を多用することによるタウリンの吸収阻害などが一因として推測されています。
ピュリナワンのような大手メーカーは、こうした最新の研究動向も踏まえ、タウリンを適切に添加するなど栄養バランスには細心の注意を払っています。ですから、信頼できるメーカーの製品を選ぶ限り、過剰に怖がる必要はない、というのが私の見解です。
グレインフリーを選ぶ際は、「穀物不使用」という言葉だけに飛びつくのではなく、
主原料は何の肉や魚か？
タウリンなど、猫に必須のアミノ酸はきちんと添加されているか？
信頼できるメーカーが製造しているか？
といった点を、あなた自身の目でしっかりと確認する習慣をつけてください。

長い道のりでしたが、様々な角度からピュリナワンを検証してきました。30年の経験を踏まえ、私が考える結論をここに示しましょう。これは、どちらが良い悪いという単純な二元論ではありません。あなたの愛猫の「今」に、ピュリナワンが寄り添えるかどうか、その判断の物差しです。

【ピュリナワンがおすすめな猫の特徴】

• 特定の持病やアレルギーがなく、健康状態が良好な猫
• 年齢やライフステージ（避妊去勢後など）に合った、基本的な健康維持をしたい猫
• 比較的好き嫌いがなく、食いつきの良いフードを探している猫
• 飼い主さんが、コストと品質のバランスを重視し、継続的に購入しやすいフードを求めている場合

【ピュリナワンが必ずしもおすすめできない（＝他の選択肢を検討すべき）猫の特徴】

• 獣医師から慢性腎臓病や特定の食物アレルギーなど、明確な診断を受けている猫（療法食が優先されます）
• 穀物全般の消化が極端に苦手で、軟便や下痢をしやすい体質の猫
• より高タンパク・高脂質な食事を必要とする、非常に活発な猫や特定品種の猫
• 飼い主さんが、原材料の産地やオーガニック認証など、より詳細な情報や付加価値をフードに求める場合

これまで解説してきたように、「ピュリナワンが絶対的に猫に良くない」という事実はありません。しかし、「特定の猫にとっては良くない選択肢になり得る」というのは事実です。その理由は、結局のところ「個体差」という一言に尽きます。

私がキャリアをスタートさせた1990年代初頭。当時はまだキャットフードの種類も少なく、選択肢は限られていました。そんな時代から、ネスレのような企業は猫の栄養学を研究し続け、フードの品質を劇的に向上させてきました。その努力には、敬意を表すべきです。

しかし、皮肉なことに、フードの選択肢が増え、情報が爆発的に増えた現代だからこそ、飼い主さんは迷い、不安になるのです。

私が経験した、もう一つの忘れられない失敗談をお話しさせてください。
2005年のことでした。あるクライアントの裕福なご家庭で飼われている、純血種のロシアンブルーが、新しいフードに変えた途端にパッタリと食べなくなってしまったのです。そのフードは、当時最高級と言われたオーガニックフード。原材料も人間が食べられるレベルのもので、栄養学的に見ても完璧に近いものでした。しかし、猫はそっぽを向くばかり。前のフード（それはピュリナワンでした）に戻した途端、ガツガツと食べ始めたのです。

この経験は、私に痛烈な教訓を与えました。我々人間が頭で考える「理想の食事」と、猫が体で感じる「最高の食事」は、必ずしも一致しないのだ、と。どんなに安全性が高く、評価の高いフードでも、猫本人が食べてくれなければ、その子の健康にはつながらないのです。

ピュリナワンが良くないと言われる理由は、その知名度の高さゆえに、多くの猫の口に入り、それだけ多くの「合わなかった」という声が可視化されやすい、という側面もあるでしょう。

最終的に、あなたの愛猫にとって最高のフードとは何か。
それは、①その子が喜んで食べ、②食べた後に便の状態が良く、③長期間にわたって健康（体重、毛ヅヤ、活動量）を維持できるフードです。
この3つの条件を満たすなら、それがピュリナワンであれ、ロイヤルカナンであれ、他のどんなブランドであれ、あなたの選択は「正解」なのです。

【結論】

ピュリナワンにまつわる良くない評判や口コミの数々に、あなたの心はきっと、嵐の中の小舟のように揺れていたことでしょう。ですが、もう大丈夫。あなたは、情報の波にただ流されるのではなく、客観的な事実と、専門家が経験から得た知見という羅針盤を手に入れたのですから。

どうか、ネット上の誰かの評価を鵜呑みにしないでください。フード選びに、絶対的な正解はありません。あるのは、あなたの愛猫にとっての「最適解」を探し続ける、愛情に満ちたプロセスだけです。

これからあなたがすべきことは、今日得た知識を胸に、もう一度、あなたの愛猫の顔をじっと見つめることです。その瞳の輝き、しなやかな体の手触り、満足げなゴロゴロという喉の音。それこそが、何よりも信頼できる答えを示してくれるでしょう。さあ、自信を持ってください。あなたの手で、あなたの愛猫だけの最高の毎日を選んであげてください。その尊い旅路を、心から応援しています。