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脱走猫が近づくと逃げる!焦りは禁物、おびき寄せる音とコツ

脱走猫が近づくと逃げる!焦りは禁物、おびき寄せる音とコツ 猫に関する知恵袋・情報
脱走猫が近づくと逃げる原因と対策
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愛猫が脱走してしまった!そんな悪夢のような状況で、やっとその姿を見つけた時の安堵は計り知れません。

しかし、名前を呼んで近づこうとした瞬間、さっと身を隠すように逃げてしまう。

「どうして」「私のこと、忘れちゃったの」そんな絶望的な気持ちになりますよね!でも、安心してください。

あなたの猫が、性格変わるようなことになったわけではありません!特に完全室内飼いの猫にとって、外の世界は恐怖とパニックの連続です。

だからこそ、飼い主であるあなたを見ても、近づくと逃げるという行動をとってしまうのです。

ここで絶対にやってはいけないのが、焦って追いかけたり大声で探さないことです。

それは猫の警戒心を煽り、さらに遠くへ逃げてしまう原因になりかねませんが、どうすればいいのか。

ただ、ほっとくのが正解なのでしょうか?いいえ、違います。

この記事では、脱走した猫が近づくと逃げる心理を解き明かし、帰ってくる確率を格段に上げるための具体的な方法を徹底解説します。

猫が帰ってくる音として知られるおびき寄せる音の活用法から、マタタビを使った効果的なおびき寄せるテクニック。

どうしても家に入らない場合の最終手段まで、今すぐできることをまとめました!正しい知識を身につけ、冷静に対処することが、愛猫との再会への一番の近道です。

記事の要約とポイント

  • なぜ近づくと逃げる?
    脱走猫がパニックに陥る心理を解説。性格変わるわけではないのでご安心を。
  • 絶対ダメなNG行動
    帰ってくる確率を下げる「大声で探さない」「追いかけない」などの禁止事項。
  • おびき寄せる具体策
    猫が帰ってくる音やおびき寄せる音、マタタ-ビを使った効果的な誘導テクニックを紹介。
  • 家に入らない時の対処法
    ほっとくべきかどうかの判断基準と、捕獲器などを使った最終手段を解説。

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心臓がどくん、と嫌な音を立てて跳ね上がる。網戸のわずかな隙間、ほんの少し開いていた玄関の扉。愛しい我が子の姿が、家の中から忽然と消えてしまったあの瞬間。血の気が引くとは、まさにこのことでしょう。私も30年以上、数え切れないほどの猫と向き合ってきましたが、1998年の雨がしとしと降る6月の夜、愛猫のサビ猫「ゴマ」が姿を消した時の、あの胃を鷲掴みにされるような感覚は今でも忘れられません。必死で探し回り、数時間後、アパートの裏手でずぶ濡れになっているゴマを見つけたのです。安堵も束の間、私が「ゴマ!」と声をかけた瞬間、彼女はビクッと体を震わせ、暗闇の奥へと消えていきました。なぜ、あんなに懐いていたはずのあの子が?もしあなたが今、同じような絶望の淵に立っているのなら、どうかこの記事を読んでください。脱走した猫が近づくと逃げるのには、ちゃんとした理由があるのです。

近づくと逃げる

完全室内飼い

性格変わる

帰ってくる確率

探さない

  • ①パニック状態になっている【特に完全室内飼いの猫】
  • ②飼い主の焦りが伝わって警戒心がMAXになっている
  • ③性格変わるわけじゃない!野生の本能が優位なだけ
  • やってはいけないNG行動|大声で呼ぶ・追いかける・探さない
おりたたみ出来る猫のキャリーケースはコレ!

の商品の魅力!

①パニック状態になっている【特に完全室内飼いの猫】

絶望的な気持ちでいるあなたに、まず知っておいてほしいことがあります。あなたの猫は、あなたのことが嫌いになったわけでも、忘れてしまったわけでも決してありません。特に、生まれてからずっと家の中で暮らしてきた完全室内飼いの猫にとって、家の外は「未知との遭遇」などという生易しいものではなく、まさに「地獄」なのです。

想像してみてください。いつもは静かで安心できるテリトリーから一歩外に出た瞬間、けたたましい車の走行音、クラクション、知らない人間の足音、他の動物の匂い、カラスの鳴き声、すべてが五感を暴力的に突き刺してきます。地面の感触も、空気の匂いも、何もかもが違う。安心できる場所はどこにもない。この極度のストレスと恐怖に晒された猫は、正常な判断能力を失い、完全なパニック状態に陥ってしまいます。

2003年の夏、私が相談を受けたケースがまさにそれでした。東京都杉並区にお住まいの佐藤さん(仮名)宅から脱走したアメリカンショートヘアの「ソラ」君、5歳。彼は典型的な完全室内飼いの猫でした。脱走から2日後、自宅からわずか30メートル先の駐車場の車の下にいるところを発見されました。しかし、佐藤さんが近づくと、シャーッと威嚇し、物置の裏の狭い隙間に逃げ込んでしまったのです。「あんなに甘えん坊だったソラが…まるで別の猫みたいだ」と、佐藤さんは涙ながらに語っていました。

この時のソラ君の心境は、まさにパニックそのもの。見慣れない景色と音に怯えきった彼にとって、たとえ大好きな飼い主であっても、「自分に近づいてくる大きな動くもの」はすべてが脅威にしか見えなかったのでしょう。普段なら絶対にしない威嚇も、狭く汚い場所への逃避も、すべては生き延びるための必死の防衛本能なのです。ですから、もしあなたの猫が威嚇してきたとしても、それはあなたへの拒絶ではありません。ただ、「怖い、怖い、もう限界だ」という心の叫びなのだと理解してあげてください。

②飼い主の焦りが伝わって警戒心がMAXになっている

猫という生き物は、あなたが思っている以上に、人間の感情の機微を敏感に察知します。特に、恐怖や不安、焦りといったネガティブな感情は、まるで電波のように伝わってしまうのです。

愛猫が脱走した。一刻も早く保護しなければ。事故にあったらどうしよう。どこかで怪我をしているかもしれない。あなたの頭の中は、こうした不安でいっぱいでしょう。その気持ちは痛いほどわかります。しかし、この「早く捕まえなければ!」という焦りが、実は猫をさらに追い詰める原因になっていることをご存じでしょうか。

私たち人間が焦っている時、体は無意識に緊張し、動きは硬く、早くなります。声のトーンは高くなり、目は獲物を狙うかのように対象を凝視してしまう。この状態は、猫の世界では「捕食者(プレデター)」の動きそのものなのです。あなたが良かれと思って近づこうとするその一歩一歩が、パニックに陥っている猫には「自分を捕まえようとする巨大な敵の接近」としか映りません。結果、猫の警戒心はMAXに達し、近づくと逃げるという最悪のスパイラルに陥ってしまうのです。

これは私の若かりし頃の苦い失敗談です。20代の頃、保護活動を始めたばかりで知識も経験も浅かった私は、脱走した猫を見つけると、とにかく早く保護することばかり考えていました。ある時、団地の植え込みに隠れている迷子のキジトラ猫を見つけ、「よし、捕まえるぞ」と意気込んで、静かに、しかし素早く近づこうとしました。その瞬間、私の体から発せられていたであろう「殺気」を敏感に感じ取ったその子は、猛スピードで駆け出し、交通量の多い道路に向かって走り去ってしまいました。幸い事故には至りませんでしたが、私は自分の未熟さを心から悔やみました。あの時、私がもっと落ち着いて、猫に安心感を与えられるような態度で接していれば…。この経験から、私は「猫を探す時は、散歩中のようにリラックスすること」を鉄則とするようになりました。あなたの焦りは、百害あって一利なし。まずは大きく深呼吸をして、心を落ち着けることが、再会への第一歩なのです。

③性格変わるわけじゃない!野生の本能が優位なだけ

「うちの子、あんな性格じゃなかったのに…」「脱走してから、まるで性格変わるようなことになったみたいだ」
飼い主さんから、本当によく聞く言葉です。しかし、断言します。短期間の脱走で猫の根本的な性格が変わることは、まずあり得ません。あなたが目にしているのは、恐怖によって呼び覚まされた「野生の本能」が、普段の「家猫」としての性格を覆い隠している状態にすぎません。

猫は、約1万年前にリビアヤマネコから進化したと言われていますが、その遺伝子には今なお、単独で狩りをして生き抜いてきた祖先の記憶が色濃く刻まれています。家の中でゴロゴロと喉を鳴らしている時、彼らはその本能を心の奥底にしまいこんでいます。しかし、ひとたび脱走し、生命の危機を感じるような極限状態に置かれると、この「野生のスイッチ」がオンになるのです。

このスイッチが入ると、猫の行動原理はたった一つ、「生き延びること」に集約されます。

  • 警戒心: 周囲のあらゆる物音、動きに最大限の注意を払う。
  • 隠密性: 敵に見つからないよう、物陰に身を潜め、じっと動かなくなる。
  • 防衛本能: 脅威が近づけば、威嚇し、逃走経路を確保しようとする。

これらはすべて、野生で生き抜くために必要不可欠なスキルです。つまり、あなたの前で威嚇し、近づくと逃げるのは、彼らが生きようと必死にもがいている証拠なのです。性格が変わったのではなく、生きるために必死になっているだけ。そう考えると、少しだけ冷静になれませんか。

状況家猫モード(普段)野生モード(脱走時)
飼い主の接近甘えてくる、すり寄ってくる脅威と認識し、距離を取る、逃げる
食事決まった時間に催促する警戒しながら少しずつ食べる、食べない
物音興味を示す、気にしない恐怖を感じ、隠れる場所を探す
行動リラックスしている、よく寝る常に緊張し、周囲を警戒している

このテーブルを見ても分かる通り、行動は真逆に変わりますが、それはあくまで状況に応じた生存戦略。あなたの猫は、心の中ではきっと「早く安心したい」「いつものご飯が食べたい」と願っているはずです。その野生の鎧を脱がせてあげられるのは、冷静さを取り戻した飼い主である、あなただけなのです。

やってはいけないNG行動|大声で呼ぶ・追いかける・探さない

猫を無事に保護するためには、良かれと思ってやったことが裏目に出るケースが非常に多いです。ここでは、私が現場で「これだけは絶対にやめてください」とお願いしているNG行動を具体的にお伝えします。

1. 大声で名前を呼ぶ、探し回る
パニックに陥っている猫にとって、大きな音はさらなる恐怖でしかありません。あなたが必死に叫ぶ声も、猫にはただの「得体の知れない大きな音」として認識され、さらに身を隠す原因になります。また、複数人でぞろぞろと探し回るのも逆効果。猫はそれを「自分を包囲しようとする敵の集団」とみなし、警戒心を強めてしまいます。

でも、どこにいるか分からないのに、探さないわけにはいかないですよね?

その通りです。ここで言う「探さない」とは、「闇雲に歩き回って探さない」という意味です。猫、特に臆病な子は、脱走しても自宅から半径50m以内に潜んでいる可能性が非常に高い。まずは自宅周辺の物置の下、植え込みの中、室外機の裏、車の下など、猫が隠れそうな場所を「静かに」「ゆっくりと」見て回ることが重要です。大騒ぎするのは、猫をさらに遠くへ追いやるだけなのです。

2. むやみに追いかける、捕まえようとする
これは最もやってはいけない行動です。猫は追われれば逃げます。そして、その逃走本能は人間の想像をはるかに超えています。あなたが全力で走っても、パニック状態の猫にはまず追いつけません。追いかけっこになった結果、猫が興奮して交通量の多い道路に飛び出してしまったり、普段は登れないような高所に登って降りられなくなってしまったりと、二次災害を引き起こす危険性が非常に高いのです。2010年、世田谷区で起きた事例では、飼い主さんが追いかけた結果、猫がパニックで隣家の2階のベランダに飛び移り、救出に消防隊が出動する騒ぎになりました。発見しても、決して追いかけず、まずは深呼吸です。

3. 知らない人に捕獲を頼む
善意で手伝ってくれようとするご近所の方もいるかもしれません。しかし、パニック状態の猫にとって、飼い主ですら警戒対象なのですから、全く知らない人間は恐怖の対象でしかありません。素人が無理に捕まえようとすれば、猫が暴れて人間が怪我をするか、猫が逃げてしまうかのどちらかです。協力をお願いする際は、あくまで「見かけたら情報をください。追いかけないでください」と伝えるに留めましょう。

これらのNG行動を避けるだけで、帰ってくる確率は大きく変わってきます。焦る気持ちをぐっとこらえ、正しい知識を持って行動することが何よりも大切なのです。

脱走した猫が近づくと逃げる時の対処法!おびき寄せる5つのコツ

AU損保では、猫が脱走したときの探し方について、具体的な方法を解説しています。

さて、ここからが本番です。脱走した猫が近づくと逃げるという絶望的な状況を打破し、愛猫を無事に腕の中に取り戻すための具体的な5つのステップをお話ししましょう。これは私が30年以上の現場で培ってきた、いわば秘伝のタレのようなものです。一つ一つ、着実に実行してください。

おびき寄せる

猫が帰ってくる音

マタタビ

家に入らない

ほっとく

  • ①ほっとくのではなく冷静に距離を保ち見守る
  • ②猫が帰ってくる音やおびき寄せる音で気を引く
  • ③マタタビやご飯の匂いで安心させ誘導する
  • ④それでも家に入らない時のための捕獲器活用術
  • ⑤帰ってくる確率を上げるために近隣に協力を依頼する
  • 猫が脱走して近づくと逃げる理由まとめ
猫用の脱走防止柵

の商品の魅力!

①ほっとくのではなく冷静に距離を保ち見守る

猫を発見した!その瞬間の安堵と興奮はよくわかります。しかし、ここが最初の、そして最大の正念場です。先述の通り、ここで焦って近づけば、すべてが水の泡となります。

まずやるべきことは、「何もしない」こと。ただし、これは「ほっとく」のとは全く意味が違います。「ほっとく」は文字通り放置することですが、ここで言う「何もしない」とは、「猫が安心できる距離を保ち、冷静に観察する」という積極的な行動なのです。

その距離は、猫の性格や状況によって異なりますが、一つの目安は5mから10m。猫がこちらを認識しつつも、すぐに逃げ出すほどではない、絶妙なパーソナルスペースを保ちます。そして、決して猫を直視してはいけません。猫の世界では、目をじっと見つめる行為は「敵意」のサインです。視線は少し逸らし、ゆっくりと瞬きを繰り返しましょう。これは「カーミングシグナル」と呼ばれ、「私はあなたに敵意はありませんよ」というメッセージになります。

その場で静かに座り込み、スマホをいじるふりをするのも良いでしょう。あるいは、全く関係ない方向を向いて、独り言を呟くように、普段猫に話しかけているような優しいトーンで、静かに名前を呼んでみてください。「〇〇、大丈夫だよ。怖かったねぇ」と。これは、猫に直接的なプレッシャーを与えずに、あなたの存在と匂いを思い出させるための重要なプロセスです。猫が少しでもリラックスした様子を見せたり、こちらに興味を示したりするまで、30分でも1時間でも、根気強くその時間を続けてください。焦りは禁物。猫のペースに合わせるのです。この「待つ」という行為こそが、おびき寄せるための最も効果的な第一歩となります。

②猫が帰ってくる音やおびき寄せる音で気を引く

猫の聴覚は非常に優れており、特定の音と「良い記憶(ご飯、おやつ、楽しい時間)」を結びつけて覚えています。この習性を利用しない手はありません。あなたの声かけで少し落ち着きを取り戻した猫の興味をさらに引くために、「音」の力を借りましょう。

効果的なおびき寄せる音として、一般的に知られているのは以下のものです。

  • 食器をカチャカチャ鳴らす音: ご飯の時間だと認識させる最もポピュラーな音です。
  • おやつの袋をカシャカシャさせる音: 「ちゅ〜る」などの袋の音は、多くの猫にとって魔法の音でしょう。
  • 缶詰を開ける音: パッカン、というあの特徴的な音も効果が期待できます。

これらの音を、スマホなどで録音しておき、小さな音で再生するのも一つの手です。しかし、私が長年の経験から最も効果が高いと感じているのは、そうした「特別な音」よりも、もっと日常的な「生活音」です。例えば、あなたがいつも座っている椅子のきしむ音、あなたがよく見るテレビ番組のオープニング曲、あるいは、あなたのくしゃみや咳払い。猫は、こうした何気ない音と「飼い主がいる安心な空間」を結びつけて記憶しています。

YouTubeなどで「猫が寄ってくる音」という動画がありますが、あれは効果がありますか?

効果がある場合もありますが、注意が必要です。動画に含まれる子猫の鳴き声などは、母性本能をくすぐる一方で、他の猫の存在を警戒させ、逆効果になることもあります。また、全く聞き覚えのない音に、かえって恐怖を感じてしまう子も少なくありません。最も信頼性が高いのは、やはりあなたの家で日常的に鳴っている「聞き馴染みのある音」です。下手に奇をてらわず、王道でいきましょう。

これらの音を出す際は、あくまでさりげなく、小さな音で始めるのがコツです。猫が「ん?なんだろう?」と耳をそばだて、少しでも興味を示したら、しめたもの。音を止めたり、また鳴らしたりを繰り返し、猫の好奇心をゆっくりと、しかし確実に引きつけていくのです。猫が帰ってくる音は、特別な魔法の音ではなく、あなたの家にあふれる日常の音そのものなのです。

③マタタビやご飯の匂いで安心させ誘導する

聴覚の次は、嗅覚に訴えかけます。猫の優れた嗅覚を利用して、「ここは安心できる場所だ」「良いことがある場所だ」と認識させ、自発的に近づいてきてもらうのです。

ご飯の匂い
まず試すべきは、普段食べているフード、特にウェットフードや温めたものの匂いです。匂いが強い方が、遠くまで届きやすくなります。ポイントは、フードの置き方。猫がいる場所と自宅との間に、点々と少量ずつフードを置いていく「ヘンゼルとグレーテルのパンくず作戦」が有効です。これにより、猫は匂いをたどりながら、自然と家の方へ向かうことになります。ただし、他の猫やカラスに食べられてしまう可能性もあるため、可能であれば見守れる範囲で行いましょう。

マタタビの活用
マタタビは、使い方を間違えなければ非常に強力な武器になります。マタタビに興奮するタイプの猫であれば、その匂いは抗いがたい魅力となるでしょう。

マタタビの種類特徴と使い方注意点
粉末タイプ最も一般的。風上から少量まくことで匂いを拡散させる。捕獲器や玄関先への誘導に効果的。与えすぎると過度に興奮したり、逆に興味を失ったりすることがある。少量から試すこと。
液体(スプレー)タイプタオルや布に吹きかけて使用。匂いをピンポイントで設置したい場合に便利。製品によって香りの強さが異なる。猫が嫌がらないか事前に確認が必要。
枝タイプ効果はマイルド。猫がリラックスしている状態でないと興味を示しにくい。誤飲の危険性がないサイズのものを選ぶ。

私の経験上、最も効果的なのは、玄関や設置した捕獲器の中に続くように、粉末タイプのマタタビを少量ずつまいておく方法です。2018年に川崎市で保護した臆病な白猫の「ユキ」ちゃんは、マタタビの匂いに誘われ、警戒しながらも自ら玄関に入り、無事に保護することができました。ただし、マタタビに全く反応しない猫や、逆に攻撃的になる猫もいます。愛猫のタイプをよく理解した上で使用してください。匂いによる誘導は、強制的に捕まえるのではなく、猫自身の意志で「帰る」という選択をさせるための、優しく、そして賢い方法なのです。

④それでも家に入らない時のための捕獲器活用術

音や匂いで誘導しても、あと一歩のところで家に入らない。玄関先までは来るのに、中を覗くだけで入ってきてはくれない。そんな膠着状態が続く場合、最終手段として「捕獲器」の使用を検討します。

「捕獲器なんて、なんだか可哀想…」そう思う気持ちはよく分かります。しかし、外の世界は危険でいっぱいです。交通事故、他の動物との喧嘩、病気のリスク。長引けば長引くほど、愛猫が危険に晒される時間は増えていきます。捕獲器は、猫を安全かつ確実に保護するための「最後の砦」なのです。

捕獲器の入手方法
捕獲器は、動物病院や、お住まいの地域の動物愛護センター、保健所などでレンタルできる場合があります。まずは電話で問い合わせてみましょう。購入することも可能ですが、数万円と高価なため、まずはレンタルがおすすめです。

設置のポイント
捕獲器の設置成功率を上げるには、いくつかの重要なポイントがあります。

  1. 設置場所: 猫が頻繁に姿を現す、安心できる場所を選びます。壁際や植え込みのそばなど、周囲がある程度囲まれている場所が理想的です。人通りの多い場所は避けましょう。
  2. カモフラージュ: 捕獲器の金属質な見た目に警戒する猫もいます。上から大きなバスタオルや段ボールを被せ、トンネルのような見た目にしてあげると、警戒心が和らぎます。
  3. 中の餌: 匂いの強いウェットフードや、唐揚げ、焼き魚など、猫が普段食べられないような特別なご馳走を用意すると効果的です。餌は、捕獲器の一番奥、踏み板のさらに奥に設置します。手前に置くと、餌だけ食べられて逃げられてしまいます。
  4. 誘導: 捕獲器の入り口から中の餌まで、匂いの強いフードのかけらやマタタビを点々と置いて、自然に中へ入るように仕向けます。

捕獲器を設置したら、あとはひたすら待つのみです。頻繁に様子を見に行くと猫が警戒してしまうため、少し離れた場所から見守るか、数時間おきに確認するようにしましょう。心が痛むかもしれませんが、これは愛猫の命を守るための最善策なのだと、心を強く持ってください。

⑤帰ってくる確率を上げるために近隣に協力を依頼する

あなた一人の力だけで探すのには限界があります。帰ってくる確率を少しでも上げるためには、周囲の協力を得ることが不可欠です。

迷子猫ポスターの作成と掲示
ポスターは非常に有効な情報収集ツールです。以下の情報を盛り込み、シンプルで分かりやすいデザインを心がけましょう。

  • 「探しています」という大きな見出し
  • 猫の鮮明な写真(特徴が分かりやすいもの)
  • 名前、性別(去勢・避妊済みか)、年齢、猫種
  • 毛色、尻尾の長さ、目の色など、身体的な特徴
  • 首輪の有無やその色
  • いなくなった日時と場所
  • 連絡先(携帯電話番号やメールアドレス)
  • 「見かけても追いかけず、情報提供をお願いします」という一文

このポスターを、動物病院、ペットショップ、スーパーマーケット、コンビニ、地域の掲示板など、人の目につきやすい場所に許可を得て掲示させてもらいます。また、新聞配達所やポスティング業者にお願いして、近隣の住宅に配布してもらうのも効果的です。

SNSやウェブサイトの活用
現代では、SNSも強力な捜索ツールになります。

  • Twitter, Instagram, Facebook: 「#迷子猫」「#拡散希望」「#(地域名)」などのハッシュタグをつけ、ポスターの画像と共に情報を投稿します。友人や知人にシェアを依頼し、情報の拡散を図りましょう。
  • 地域の情報サイト・アプリ: 「ジモティー」などの地域密着型サイトの迷子ペット掲示板に投稿するのも有効です。
  • 迷子ペット専門サイト: 「ネコジルシ」など、迷子ペットの情報を専門に扱うウェブサイトにも登録しましょう。

私が関わった2021年のケースでは、Twitterで拡散された情報がきっかけとなり、脱走から1週間後に、自宅から500m離れた倉庫で無事保護された子がいました。デジタルとアナログ、両方の手段を駆使して、情報網を広げることが、再会への道を切り拓くのです。諦めずに情報を発信し続けてください。あなたの猫を気にかけてくれる人は、きっといます。

猫が脱走して近づくと逃げる理由まとめ

愛猫が目の前にいるのに、近づくと逃げる。その光景は、飼い主にとってこれ以上ないほど辛く、心をえぐるものでしょう。しかし、今日お話ししてきたように、その行動はあなたへの拒絶ではなく、極度の恐怖とパニックからくる、必死の生存本能の表れなのです。性格変わるようなことになったわけでは、決してありません。

彼らは、安全だった家の中から一歩外に出た瞬間から、想像を絶する恐怖と戦っています。だからこそ、私たち飼い主がすべきことは、焦りや不安をぐっとこらえ、冷静になること。そして、猫の恐怖心を理解し、彼らのペースに合わせて、安心できる場所へとおびき寄せるための正しいステップを踏むことです。

大声で探さない。追いかけない。まずは静かに見守り、聞き慣れた音と大好きなご飯の匂いで、「大丈夫だよ、ここが君の帰る場所だよ」と優しく教えてあげてください。家に入らない時は、捕獲器という最後の手段もあります。そして、あなた一人で抱え込まず、ポスターやSNSを通じて周囲の力を借りる勇気を持ってください。

あなたの愛猫は、今この瞬間も、あなたのことを待っているはずです。温かい寝床と、美味しいご飯、そして何より、あなたの優しい撫でる手を思い出しているに違いありません。諦めないでください。正しい知識と、愛猫を信じる強い気持ちがあれば、必ずや再会の日は訪れます。この記事が、暗闇の中にいるあなたと愛猫にとって、一筋の光となることを心から願っています。さあ、もう一度、深呼吸をして。あなたの戦いは、ここからが本番です。

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