野良猫の捕まえ方決定版！洗濯ネットでパニック回避する極意を公開

庭に来るあの子を病院へ連れて行きたいけれど、シャーシャー威嚇されて近づくことすらできない、そんな切実な悩みを一人で抱えていませんか。

今回は「さわれない猫」でも怪我なく安全に保護できる、「野良猫」の「捕まえ方」決定版を徹底解説します。

ネット検索で見かける情報は一見「簡単」そうに見えますが、準備不足のまま安易に挑むのは絶対にNGです。

もし失敗して猫が「パニック」を起こして逃げ出してしまえば、警戒されて二度と戻ってこない最悪の事態になりかねません。

そこでプロが推奨するのが、どこの家庭にもある「洗濯ネット」の正しい活用術です。

猫の動きを制限しつつ視界を遮り落ち着かせる魔法の道具ですが、強引に押し込むような使い方は「逆効果」になってしまいます。

本記事では、教科書通りの獣医のアドバイスだけでなく、数多くの保護現場で培われたリアルな裏話とテクニックを余すことなく公開します。

「100均」のネットでも強度は十分なのか、成猫に適切な「サイズ」はどれくらいか、誘導作戦に「またたび」は本当に有効なのか、気になる疑問にすべて答えます。

さらに、どうしても入らない時の専用「捕獲ネット」の知識や、無事に「捕獲」した後に待っている難関、「爪切り」の具体的な手順まで網羅しました。

あなたの優しさが空回りしないよう、猫情報のプロとして「建前ではない本当のところ」をズバリお伝えします。

これで暴れる猫との知恵比べにも、自信を持って挑めるはずです。

猫も人も怪我をせず、スムーズに保護完了するための極意を、ぜひ最後までチェックしてください。

【この記事の要約：最短で捕獲成功するための鉄則】

• 素手は厳禁：必ず厚手の手袋と洗濯ネットを使用すること。ネットは猫にとって「拘束具」ではなく「安心できる隠れ家」として機能させます。
• サイズ選び：100均のものでも代用可能ですが、必ず「特大サイズ（60cm以上）」かつ「網目の粗いもの」を選んでください。
• 誘導の極意：無理やり被せるのではなく、またたびやフードを使って自発的に入らせるのが最善。失敗したら即撤退し、警戒心を解く時間を設ける勇気が必要です。

「猫を洗濯ネットに入れるなんて、虐待じゃないの？」

そんな声が、SNSの片隅で聞こえてくることがあります。確かに、何も知らない人が見れば、網袋に生き物を入れている光景はショッキングに映るかもしれません。しかし、声を大にして言わせてください。これは虐待ではなく、猫と人間の双方を守るための「命綱」なのです。

猫、特に外で暮らしてきた野良猫にとって、人間に捕まることは「食われる」ことと同義の恐怖です。病院へ連れて行くため、あるいは家猫として迎えるためという人間の事情は、彼らには通じません。そのままキャリーバッグに入れようとすれば、彼らはパニックを起こし、その鋭い爪と牙で全力で抵抗します。その結果、人間は大怪我を負い、猫は脱走し、二度と戻ってこないという悲劇が生まれます。

ここで登場するのが洗濯ネットです。猫には「狭い場所に入ると落ち着く」という習性があります。ネットは適度に身体に密着し、視界をぼやけさせることで、興奮した猫の神経を鎮める効果があるのです。獣医師も推奨するこの方法は、決して乱暴な手段ではなく、猫の習性を熟知した上での最善策と言えるでしょう。

プロが現場で使う「三種の神器」とは

準備なしに戦場へ向かう兵士はいません。さわれない猫を相手にするなら、以下の装備は必須です。

1. 洗濯ネット（特大・粗目）：今回の主役です。後ほど詳しく解説しますが、サイズ選びを間違えると地獄を見ます。最低でも2枚用意しましょう（1枚は予備、あるいは二重にするため）。
2. 革手袋（溶接用など）：軍手は無意味です。猫の牙は軍手の繊維など容易に貫通します。ホームセンターで売っている革製の手袋、できれば肘までカバーできるものがベストです。「大げさだ」と笑う人は、猫の本気の噛む力を知らない人だけです。
3. バスタオル（大判）：視界を遮断したり、上から被せて動きを封じたりするのに使います。猫の匂いがついていない、洗濯済みのものが望ましいですね。

失敗しないためのマインドセット

技術的な捕まえ方の前に、もっと大事なことがあります。それは「絶対に焦らないこと」です。

ネット掲示板などでよく見かける失敗談に、「今日連れて行かないと病院が閉まっちゃう！」と焦って無理やり捕まえようとし、結果として手ひどく噛まれて流血沙汰になった、というものがあります。猫は人間の殺気や焦りを敏感に感じ取ります。あなたが「今日こそは！」と意気込めば意気込むほど、猫は「こいつ、今日は何かおかしいぞ」と警戒レベルをMAXに引き上げます。

「今日捕まればラッキー、ダメならまた明日」

これくらいの余裕を持つことが、実は一番の近道なのです。猫情報のプロとして断言しますが、猫との知恵比べにおいて、根気で人間に勝る猫はいません。私たちが諦めなければ、いつかチャンスは巡ってきます。

さて、道具の話を深掘りしましょう。読者の皆さんから最も多く寄せられる質問の一つが、「洗濯ネットは100均のものでも大丈夫ですか？」というものです。

結論から言えば、条件付きでYESです。

私も数々の現場でダイソーやセリアのネットを使用してきましたが、新品であれば強度は十分にあります。猫の爪は鋭利ですが、ポリエステルのネットを一瞬で引き裂くほどの力は、よほどの大型猫や興奮状態でない限り稀です。ただし、使い古して生地が薄くなっているものは論外ですよ。

サイズ選びに関しては、「猫の体にぴったりフィットする方が暴れないのでは？」と考える方がいますが、これは捕獲の段階では間違いです。

野良猫を誘導する際、入り口が狭いとそれだけで警戒されます。ガバっと大きく口を開けられる、60cm×60cm以上の特大サイズを選んでください。布団用や毛布用のネットがおすすめです。

• 捕獲時：入り口が広い特大サイズが有利。
• 捕獲後：中で暴れるスペースがありすぎると逆に落ち着かない場合があるので、入った後に余った部分を縛って調整する。

この「調整」ができる点でも、大きいサイズが有利なのです。

ここ、テストに出るくらい重要です。洗濯ネットには「細かい網目（デリケート衣類用）」と「粗い網目」がありますが、必ず「粗い網目」を選んでください。

理由は2つあります。

1. 爪が引っかからない：細かい網目は猫の爪が引っかかりやすく、パニックになった猫が爪を折ってしまうリスクがあります。また、引っかかった爪が外れずに暴れ続け、ネットごと回転して窒息事故に繋がる恐れもあります。
2. 外からの処置が可能：これが最大の理由です。動物病院に連れて行った際、先生はネット越しに注射を打つことができます。網目が細かいと針を通すのが難しく、また猫の顔色や状態を確認しづらくなります。

以下の表に、ネット選びの基準をまとめました。

項目	おすすめの選び方	理由・備考
購入場所	100均またはホームセンター	新品なら100均で十分。耐久性が不安な場合は二重にする。
サイズ	特大（60cm×60cm以上）	入り口を広く確保するため。捕獲後に余白は調整可能。
網目の種類	粗目（ハニカム構造など）	診察時の注射のしやすさ、爪トラブル防止、通気性確保。
形状	角型または円筒型	マチがある立体的なものの方が猫が入りやすい。
ファスナー	ロック機能付き推奨	中から開けられないように。ない場合は安全ピンや結束バンドで固定必須。

「たかが100円、されど100円」。この選択ミスが、当日の運命を分けます。特にファスナーの強度は要チェックです。100均のものはファスナーが弱いことがあるので、捕獲後はすぐにガムテープや結束バンドでスライダー部分を固定することをお忘れなく。

「道具は揃った。でも、どうやってあの警戒心の塊みたいな猫をネットに入れるの？」

ここが最大の難関ですよね。ネットの記事では「ご飯を食べている隙に後ろから被せる」なんて簡単に書かれていますが、それができれば苦労しません。野良猫の背後を取るなんて、ゴルゴ13の背後に立つようなものです。

ここでは、正面突破ではなく、猫の欲望を利用した「罠」としてのネット活用術を紹介します。

「またたびでおびき寄せればいいのでは？」と考える人は多いですが、実はまたたびは万能ではありません。

猫の約2〜3割はまたたびに反応しないと言われています。また、未成熟な子猫や老猫には効果が薄いこともあります。さらに言えば、またたびで泥酔状態（マタタビ酒を飲んだような状態）になった猫は、攻撃性が増すこともあり、捕獲後のハンドリングが難しくなるリスクも孕んでいます。

ですので、またたびはあくまで「補助」として考えましょう。メインウェポンはやはり「極上のご飯」です。普段あげているドライフードではなく、匂いの強いウェットフード、あるいは「焼きカツオ」のような猫が抗えないおやつを用意してください。

私が初心者に最もおすすめしているのが、この方法です。

1. ネットの設置：洗濯ネットの入り口を全開にし、入り口部分を折り返してカゴのように立たせます。あるいは、ダンボール箱の中にネットを敷き、入り口を箱の開口部に合わせてセットします。
2. 餌での誘導：ネットの「一番奥」に、極上のご飯を置きます。
3. 慣らし期間：捕獲当日にいきなりやるのではなく、数日前から「このネットの中に入れば美味しいものが食べられる」と学習させます。最初は警戒して手前しか食べないかもしれませんが、徐々に皿を奥へと移動させます。
4. 実行：猫がネットの奥まで入り、夢中で食べている瞬間を見計らって、静かに、しかし素早く入り口のファスナーを閉めます。

この方法のポイントは、「人間が猫に向かっていく」のではなく、「猫自ら入ってもらう」点にあります。猫は「自分で選んで入った場所」には比較的警戒心を抱きにくいのです。

新品の洗濯ネットには、独特の化学繊維の匂いがついています。鼻のいい猫はこれを嫌がることがあります。
裏ワザとして、「普段猫が使っているタオルや、またたびの粉をネットに擦り込んでおく」あるいは「煮干しの袋の中にネットを入れて一晩寝かせ、美味しい匂いをつけておく」という方法があります。

嘘みたいな話ですが、これで成功率が跳ね上がったという報告がSNSでも多数上がっています。「ネット＝美味しい匂いのする場所」と認識させるのです。

いざ本番。心臓はバクバクでしょう。しかし、ここで「えいや！」と力技に出るのは絶対にNGです。
猫を無理やり押し込もうとすると、猫は「殺される！」と認識し、死に物狂いで抵抗します。これを「恐怖性攻撃行動」と呼びますが、この状態の猫は火事場の馬鹿力を発揮し、人間の指など簡単に噛み砕きます。

もし、ある程度人馴れしていて、抱っこまではいかないまでも撫でることができるレベルの猫なら、「お尻から入れる」のがセオリーです。

猫は前に進む生き物ですが、狭い場所や嫌な場所に入れられそうになると、手足で突っ張って抵抗します。頭から入れようとすると、前足でネットの入り口を突っ張って絶対に入りません。
しかし、抱き上げた状態で後ろ向きにネットに入れると、足場がないため抵抗しづらく、スルッと入ってしまうことが多いのです。

「抱っこなんて無理！」という完全な野良猫の場合は、先ほどの「置きネット作戦」か、あるいは上からバスタオルごとネットを被せる方法になりますが、被せる方法は難易度S級です。失敗すると猫との信頼関係が崩壊するので、プロ以外にはおすすめしません。

ここで、実際にネット上でよく見かけるリアルな悩みと、それに対する本音の回答をQ&A形式で紹介します。

洗濯ネットに入ったからといって、ミッションコンプリートではありません。ここから病院へ運ぶまでが遠足です。

洗濯ネットに入れた猫は、必ずハードタイプのキャリーケースに入れてください。
「ネットに入ってるから抱っこで行けるでしょ」と考えるのは甘いです。車の中でネットから爪を出してシートをボロボロにしたり、運転中のあなたの顔に飛びついたりする可能性があります。また、恐怖で失禁・脱糞することもよくあります。
キャリーケースの底にはペットシーツを厚めに敷き、万が一の粗相に備えましょう。

釣りで使う「タモ網（ランディングネット）」を使って捕まえる方法もありますが、これは推奨しません。
タモ網は柄が長く、距離を取って捕まえられますが、捕まえた後の「移し替え」が至難の業だからです。タモ網から洗濯ネットに移す瞬間に脱走されるケースが後を絶ちません。
最初から洗濯ネット（または後述する捕獲器）を使う方が、トータルのリスクは低いのです。

詳しくは、環境省のガイドラインなどでも、動物の愛護及び管理に関する法律に基づいた適正な取り扱いが推奨されています。
参考URL: https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/

何度やっても失敗する、警戒心が強すぎてご飯にも寄ってこない。そんな「ラスボス級」の野良猫もいます。そんな時は、素直に文明の利器「捕獲器（トラップ）」に頼るべきです。

以下のチェックリストに当てはまる場合は、洗濯ネットでの捕獲は諦め、捕獲器の使用を検討してください。

項目	状況	判定
接近距離	2メートル以内に近づくと逃げる	捕獲器推奨
威嚇レベル	姿を見ただけで「シャーッ！」と威嚇する	捕獲器推奨
食欲	人が見ている前では絶対にご飯を食べない	捕獲器推奨
過去の経験	一度捕獲に失敗し、強く警戒されている	捕獲器推奨
怪我の状態	重傷で動きが鈍いが、触ると激痛で反撃してくる	捕獲器推奨

捕獲器（踏み板式のカゴ）は、保健所や動物愛護団体、一部の動物病院で貸し出しを行っています。「踏み板を踏むと扉が閉まる」シンプルな構造ですが、成功率は段違いです。
「閉じ込めるみたいで可哀想」という感情は捨てましょう。病気や怪我で苦しむ時間を長引かせる方が、よほど残酷です。

さて、無事に捕獲し、病院での処置も終わって家猫修行が始まったとしましょう。
ここで多くの飼い主さんを悩ませるのが「爪切り」です。元野良猫の爪は鋭く、伸び放題。家の中で生活させるにはカットが必須ですが、触らせてくれるわけがありません。

ここでも洗濯ネットが活躍します。というか、慣れるまでは洗濯ネットなしでの爪切りは不可能と思ってください。

1. ネットに入れる：これが最大の難関ですが、キャリーから出すタイミングなどで上手く誘導します。
2. 網目から爪を出す：ここが粗目のネットを選んだ理由です。ネットの上から肉球をムギュッと押し、ニューッと出てきた爪だけを網目の外に出します。
3. カット：ニッパー型やギロチン型の爪切りで、先端の鋭い部分だけをカットします。深爪は厳禁です。血管（ピンク色の部分）の手前で止めましょう。
4. 一本ずつ確実に：全部切れなくてもOKです。今日は右前足の2本だけ、明日は左足、という風に気長にやりましょう。

獣医師会などの専門機関でも、保定の補助具としてのネット活用は広く認知されています。
参考URL: http://nichiju.lin.gr.jp/

長くなりましたが、野良猫の捕まえ方における洗濯ネットの重要性と、その具体的な活用術をお伝えしました。

最後に、これから捕獲に挑むあなたに伝えたいことがあります。
あなたが今やろうとしていることは、小さな命の運命を大きく変える、責任重大で、そして最高に尊い行為です。

ネット越しに伝わる猫の体温、恐怖で震える振動、そして威嚇の声。それらすべてを受け止める覚悟が必要です。最初は「怖い」と感じるかもしれません。でも、その恐怖の裏側には、過酷な外の世界を生き抜いてきた彼らの必死な「生」があります。

洗濯ネットという薄い布一枚を隔てて、あなたと猫は対峙します。それは単なる捕獲作業ではなく、「これからは私があなたを守る」という契約の儀式なのかもしれません。

捕獲に成功し、病院での治療を終え、初めて家の中で安心して眠る猫の寝顔を見たとき、あなたの腕の傷も、苦労した時間の記憶も、すべてが報われる瞬間が必ず来ます。
「あの時は大変だったな」と、洗濯ネットを見ながら笑って話せる日が来ることを、心から応援しています。

さあ、準備はいいですか？深呼吸をして、決して焦らず、愛と知恵を持って挑んでください。健闘を祈ります！